2020年2月14日

楽曲解説 『陰陽師』 第1話 - 動機

作曲開始 2004年
Key=D♭マイナー

「陰陽師」という言葉をみれば通常は、平安時代などの和風で雅な印象を持つだろう。しかし、なぜか私には、また違ったイメージが浮かぶことがある。デジタル空間的、あるいはレーザー光線のようなものというか。おそらく「陰陽」という字面が「光と影」をも連想することから、その明暗のコントラストにより、電子的というか、未来的というか、そういった想像がかき立てられるのだと思う。
例えば暗闇の中、点いたり消えたりを繰り返す、切れかけの電灯のように、定期的或いは突発的な発光のイメージがよぎるのである。
この曲では、まさにそのような情景をもとに制作を進めていった。明滅する光の様子は、エレクトリックピアノのリフで表現されている。

当初の音楽的な計画としては、和風な要素を敢えて入れない予定でいた。理由の一つとしては、陰陽師という言葉からは、先述の通り私には電子的な光景が浮かぶからである。しかし、いま一度考えてみれば、『陰陽師』というタイトルにも関わらず和風要素が一切ない曲というのも、偏り過ぎているかもしれない。しかも自分自身、制作を進めて行く中で、気付けば頭の中ではある程度の和風音階が次第に鳴って来ているではないか!
そういうこともあって、ここは素直にインスピレーションに従って作る方が良さそうだ、と思い直した。

[第2話に続く]
次回更新予定日は 2月28日(金)