2022年5月5日

インストプロジェクト #2 Shikigami Metalizer

本日、インストプロジェクトの第2曲目を公開いたしました。
タイトルは『Shikigami Metalizer』、和風の妖しい世界観がテーマです。

第1曲目は約2分のパターンが繰り返されていましたが、本曲は全体に渡って呪術的で複雑な作りになっております。刺激がほしいとき、創作のためのインスピレーションを得たいときなどにぜひご活用ください。

2022年4月4日

インストプロジェクト #1 Aquarium Echo

皆さま 新学期が始まりましたね🌸
学園催 音楽研究部では、新企画 インストプロジェクトを始動いたしました。定期的にインスト曲を発表していく予定です。

第一弾は、過去のネットラジオ企画のために制作した曲のリメイクです。
トークのBGMとして流していましたので、比較的シンプルな作りになっております。リピート再生により作業用BGMとしてもお聴き頂けます。
どうぞお楽しみください♪

2022年3月25日

楽曲解説 『走馬灯』 第3話 - 催眠

『走馬灯』の解説は今回で完結となるが、最後に、楽曲と共に制作したミュージックビデオについても少し触れてみたい。

一般に、アンビエント・環境音楽といわれるものは、どちらかといえばリラックス、マスキング、或いは治療目的などで聴かれることが多い。通常のポップスとは異なり、「楽しむために聴く」というよりは、実用的な使われ方が多くなるジャンルである。
本曲でも、そういったニュアンスが色濃くなっている。

では、このような音楽がリラックスや癒しの効果を持つのはなぜだろうか。
要因は様々だろうが、その一つとして挙げられるものが「催眠」である。

催眠状態とは具体的にどのようなものか。まず、理性が抑えられて暗示にかかりやすくなる。リラックスしたり、恍惚感が高まったりすることも多い。このとき人は、現実的なことやネガティブな事を考えにくくなる。また、副交感神経の働きが交感神経よりも優位に働きやすくなり、その結果、心身の様々な症状において好転が見込まれるといわれる。

このような状態に入る方法として、一つには単調なリズムや持続音を聴き続けるというものがある。
例えばトランスミュージックでも、その単調で定期的なビートにより催眠誘導が起こり、いわゆるトランス状態に導く効果があるといわれている。事実、トランス音楽のライブ映像を見ると、観客はみな没入・陶酔し、狂喜乱舞している。凄い威力である。参加者が一斉に、何かに憑りつかれたように恍惚状態に達しているのだ。

しかし実際のところ、単調なリズムを聴かせるだけで、本当に催眠状態に導けるものだろうか。
いや、これはさすがに難しいと考える。
確かに世の中には、催眠にかかりやすい人も一定の割合で存在するので、音楽を聴くだけで本当に催眠にかかってしまう人もいるかもしれない。だが、大多数の人はそうはいかない筈である。
テレビ番組でよくある催眠術の企画も、その殆どは申し合わせた演出だといわれる。催眠術にかかったフリをしているか、もしくは編集により、催眠にかかりやすい人の映像を抜粋しているケースが多いようだ。

もし仮に、誰もが簡単に催眠術にかかってしまうのであれば、すぐに悪用されてしまうだろう。世の中は今頃、かなり大変なことになっている筈だ。だが現実は違う。100%不可能とまでは言わないが、日常的に乱用されているようには見えない。
つまり、単調な音楽を聴かせることで容易に催眠状態にて、他者をコントロールするといったことは、ドラマや映画の中だけの出来事なのだ。それが妥当な答えであろう。

では環境音楽によって得られる癒し効果や、トランス音楽のライブで見られる集団催眠的な現象は、どのようにして起きるのだろうか。
ここで一つ、興味深い事例を紹介する。

時は18世紀の後半、ヨーロッパにメスメルという医師がいた。彼はまるで魔法のようにあらゆる病を治してしまうというのだ。これは現代医学における催眠療法にあたるとされる。その手順は次のようなものだ。
診察室に全患者を集め、神秘的で単調な音楽を流す。室内を薄暗くして、患者たちの意識が少し虚ろになってきたところで、豪華な服装に身を包んだメスメルが優雅に登場する。患者の意識は更に朦朧となってゆく。
メスメルは踊りながら、一人一人の患者を診て回り、手当てをする。全員への処置が完了するとメスメルは退場し、やがて音楽が止まる。
すると患者たちは平常時の意識に戻り、その時点で症状が全て治癒している、というのだ。

実はこの手法は、いわば催眠の教科書ともいえる王道的なものだ。ここでは「権威」が一つの鍵となっている。医師と患者の間に信頼関係が形成されており、これが催眠をかける大きな手掛かりとなる。
また、メスメルが活動していた頃はまだ、呪術や儀式の効果も素直に信じる古き良き時代であった。多くの人々が、暗示にかかりやすい素地を持っていたともいえる。

さて、ここで重要な点がある。それは、メスメルは音楽の力だけで人々を催眠状態に導いているわけではない、ということだ。環境の助けを借りている面が多々ある。薄暗い室内、豪華な服装、優雅な舞踊など、非日常的な空間に患者を置くことで、現実感の低下を促しているのだ。

それでは、トランスミュージックのライブについてはどうだろうか。
やはりこちらも、音楽以外の様々な演出や仕掛けが存在する。
会場の閉鎖性、色とりどりの夥しい照明、そして何より、大人数で同じビートに没頭する環境がある。こういった場面では群集心理が働きやすい。音楽のみでは、そこまでの没入・陶酔に至るのは難しいだろう。演出をプラスすることで、人々は別世界へと導かれてゆくのだ。

そこで本曲でも、音楽に加える別要素を取り入れることとした。
つまりミュージックビデオである。特に複雑なものではなく至ってシンプルだが、催眠状態へ導くには適した構成となっている。オープニングでは蛍のような灯が明滅しながら飛び交う。やがて走馬灯をモチーフにした造形が蜃気楼のように浮かび上がる…。

こういった非現実的な演出と、音楽との相乗効果によって、更なる癒しや陶酔へと誘うことを目指した『走馬灯』。今回の解説を踏まえて、いま一度、聴覚と視覚から成る幻想的な世界を味わって頂けると幸いである。(完)

次回更新は4月4日。インスト曲の発表である。
またのご来校、お待ちしている。

2022年2月23日

楽曲解説 『走馬灯』 第2話 - 夢想

静かで落ち着いた中にも、明るさや刺激、非日常さが感じられる「歌入りのアンビエント」
そんなコンセプトで制作した本曲であるが、その実現のために施した工夫をいくつかご紹介しよう。

まずは定期的に鳴る、高音の鈴のような金属音だ。ディレイ効果を付けて不思議な輝きを演出した。
ギターも音数の少ない単音弾きを中心とし、浮遊感を重視している。

これらの幻想的なサウンドに掛け合わせるのがノイジーなドラムパートである。今回のドラムはなるべくラウドな音源を選び、時間によって音色を変化させている。ドラムだけを集中的に聴いてみると、武骨でインダストリアルな響きに気付いていただけるだろう。
アンビエントなのに刺激とビート感が保たれるという新感覚を目指したのだ。

またメロディーは、普通の歌もののメロディーラインというよりは、楽器で演奏するタイプのメロディーを意識して作った。ポップでありながら、音程変化は機械的である。おそらくオルゴールのような音色の楽器で演奏してもよく合うと思う。

そして歌詞であるが、実は元々この曲も普通に日本語で作っていた。だがそれを廃止し、ほぼ全域をαスキャットとした。唯一残した日本語も、「ゆっくりと/まどろみに/おちてゆく」といった日常会話ではあまり登場しないような言葉を選んでいる。
このような意図で構成された今回の歌詞にはメッセージ性はなく、共感を呼ぶことはまずないだろう。だがそれで良い。やはり人は言葉が具体的であるほど、描くイメージがその意味に引っ張られてしまう。日常性を排すことで、夢の中での出来事のように感じられるのだ。

このようにして作られた『走馬灯』、皆さんを幻想的な世界へと導くお手伝いができているのではなかろうか。
なお本曲には「心地好いまどろみに導くおまじない」が込められているが、実際、眠気を誘う効果があると感じている。学園催の楽曲は、その8割以上が朝のスタートダッシュ、気合一発!という系統が多い中、この曲は例外である。乗り物の運転時など集中を要する場面での再生は念の為に控えて、できれば就寝時などリラックスしたい時にお聴き頂きたい一曲である。

つづく

次回更新予定日は3月25日(金)

2022年1月28日

楽曲解説 『走馬灯』 第1話 - 融合

作曲編曲:中宮貞子女帝
  作詞:貞子+ちっぴ
作曲開始:2016年
完成発表:2021年12月25日
Key=C#メジャー
おまじない:心地好いまどろみへと導く

昨年末に発表した新曲『走馬灯』であるが、ここには学園催の掲げる理念が色濃く反映されている。
その一つが『αスキャット』 —— これは意味を持たない音声で歌われるパートで、歌詞は特殊な文字列で表記される。
その目的は「言葉の概念を超えて、頭を空にしてサウンドに没入する」ことである。

一般的に、ポップスでは歌詞に重点が置かれるものだ。歌詞の意味に共感したり、勇気をもらったりする。特に日本では歌詞が重要視される傾向にあるといわれている。私自身、気に入った曲の歌詞がどうしても聞き取れなくて調べたりするし、学園催の作詞においても、サウンド制作より苦労することもある。

しかし時には、言葉から与えられるイメージではなく、サウンドから生まれる世界に没入したいことがある。それはボーカルの入っていないインスト曲ではもちろん可能だが、歌モノでも同様なことを実現したいと、日頃から考えていた。

ところで、私の個人的な好みといえば、8割方がラウドな曲である。明るく派手でガツンと来る、破壊力のある曲が圧倒的に好きなのだ。
そして残りの2割は静かな曲となるが、よく聴くのはインスト曲で、アンビエントやヒーリング系が大勢を占めている。「アンビエント」とは「辺り一面」「環境」といった意味で、しっかりしたメロディよりも効果音がメインで構成される。
静かなボーカル曲といえばバラードとなるが、賑やかな曲よりも更に歌詞に重点が置かれる傾向にあるため、サウンドのみに集中するのはなかなか難しい。

そこでインスト曲を聴くことになるのだが、そうはいっても私は根本的に歌モノの曲が好きである。ヒーリング目的などでインストを長時間聴いていると、やがてボーカル曲が聴きたくなる。
「言語に影響を受けないアンビエントなボーカル曲」が聴けるならば一石二鳥といえるが、ある意味矛盾ともいえる条件なので、なかなか見付からない。ならば作ってしまえということで、『走馬灯』の制作は始まった。

ボーカルは、ほぼ全面的にαスキャットとし、まさに言葉の領域から離れ、音の世界に集中してもらうことを主眼とした。そのサウンドは、幻想的なアンビエントを基調としており、そこにノスタルジックな電子音、ノイジーなリズムトラックを融合させている。

実は本学園では、アンビエント系の曲は、アルバムでは数曲発表している。例えば、アルバム『陰陽師』に収録される『丸竹夷』や、ミニアルバム『阿僧祇』に収録されてる『無量数』などである。しかしそれらはメルヘンな雰囲気がありながらも、ホラーテイストが強く、うっとりと陶酔するような性質のものではなかった。まあホラーテイストもこれはこれでスリリングで良いものだが、今回はもっとこう、煌びやかで夢の楽園に居るような世界観のものにしたかった。
単に静寂だけではなく、明るさと刺激が融合した音世界を創ろうと考え、今回その実現に至ったのだ。

つづく

次回更新は2月25日 (金)