2020年3月20日

楽曲解説 『陰陽師』 第3話

前回は、創作上の陰陽師と実際の陰陽師の在り方についてお話した。今となっては確実なことは言えないが、近からず遠からずというところだろう。

歌曲『陰陽師』を作るにあたっては、このような「華美ではないが、実は世を支配する黒幕」という世界観をモデルに作曲した。そしてD♭マイナーという、通常のポップスではあまり使われないキーで奏されている。ちなみにハードロックやメタルでは、弦楽器のチューニングを半音下げにする場合が多いので、聞こえ上はD♭マイナーになり、それほど珍しくはないキーではある。しかし普通のポップスでは、特段の理由でもない限り、わざわざこのような微妙なキーで演ることは少ない。ともかく、このD♭マイナーのお蔭で独特の暗さが出ていると思う。

また当時は、この歌曲を主体としたアルバムを制作する事は全く想定していなかった。アルバムのタイトル曲にしては、少々地味で控え目な雰囲気にも感じていた。現に、アルバム『陰陽師』には、派手でインパクトの強い歌曲は沢山ある。むしろそれらの方がタイトル曲と言っても良いほどだ。だが、先述の「黒幕的」な世界観に従えば、この『陰陽師』がタイトル曲で良いのかも知れないと考えた。
また、一つの曲にかなりの年数をかけてじっくり作り込むスタイルの私からすれば、この歌曲は作曲にかけた年数が短い。2年と数カ月で完成している。実に稀なケースである。だが、その割には底知れぬ暗黒の雰囲気が漂い、古(いにしえ)の深さが表れているようにも思える。
ともすれば、平安を生きた陰陽師から送られて来た霊験の賜物だろうか…。
(完)
次回更新予定日は 4月10日(金)