2020年4月10日

楽曲解説 『第六感』 第1話 - 誕生

作詞:貞子 + ちっぴ
作曲編曲:中宮貞子女帝
作曲開始:1991年
発表:2020年4月4日
Key = E メジャー

ようやくこの歌曲を発表する時が来た。
発案・作曲開始は1991年に遡る。曲自体は1994年には一旦完成していたのだが、様々な事柄が絡み、日の目を見ないまま、時だけが過ぎていった。

元々のキーはE♭で、しかもチューニングは6弦と5弦の両弦だけを半音下げにする、という特殊な調弦法で演っていた。この頃はやたらと変則チューニングに凝っていたのだ。
曲調は通常のハードロックのアレンジであった。イントロからヘヴィーなリフが炸裂するかなり攻撃的なサウンドで、ダークな印象すらあったのだ。その理由は、当時の私はまだ、生バンド真っ盛りの時代だったからだ。私はギター担当である。厳ついリフから少しずつ作り始めたあの頃が、昨日のように思い出される。

その頃の音楽シーンは、好景気の勢いも相まってJ-POP史上最大とも呼べる空前のバンドブーム絶頂期であった。現在からは想像もつかない程の狂喜乱舞な世界だったのだ。どこもかしこもバンド一色で、私自身もロック以外は考えられない程の熱中ぶりであった。
だが、私の中では、なぜかこの歌曲は「電子音楽系の楽曲に仕上げたら面白いだろうな」という強い想いが既に漂っていたのだ。電子音楽系と表した理由は、まだこの頃はテクノという言葉を、私自身は使っておらず、シンセサイザーを駆使したエレクトリックな楽曲をこのように呼んでいた。

その想いはともかく、まずはバンドで演奏しないといけないので、それに適した形態のアレンジでデモを作り、当時のバンドメンバーに聴かせた。この時のヴォーカリストは男性である。曲自体は好評ではあったが、なぜかライブのセットリストに入ることはなかった。それどころかスタジオ練習でも2~3回合わせた程度だった。考えられる理由は、まずチューニングが複雑なのと、あとは、まあ…、メロディーが結構ポップだったから当時のバンドカラーには合わない、などといったところだろう。また、女性ヴォーカル向けの雰囲気だ、とも言われた。
前述の通り、テクノ的な楽曲に仕上げたいとの想いから、メロディーがかなりポップになっており、バンドメンバーにはそれがミーハー的に捉えられ、お気に召さないという者も結構居たのだ。バッキングはヘヴィーで厳ついのに、メロディーはポップ、というのが当時としては、受け入れ難かったのだろう。

その後、1997年に本学園の前身となる男性4人組ロックバンドが結成され、その際にも本歌曲が浮上した。だが、スタジオ練習で数回演奏しただけで、やはりライブ等で演奏される事はなかった。この時のヴォーカリストはかなり硬派な人で、メロディの雰囲気や歌詞の内容が彼のキャラクターと合わないという事で自然にセットリストから外れていったのだ。それを最後に、本歌曲は暫し、長い冬眠に入ることになった……。
(つづく)

次回更新予定日は 5月1日(金)