2020年12月25日

楽曲解説 『新学期』 第1話 - 休暇

作曲開始 2003年
Key = Gメジャー
皆さんは、「新学期」という節目をどんな心境で迎えていただろうか。ワクワクしていた?億劫だった?あるいは特に何も感じなかった、という向きもあるだろう。
私はといえば、期待や緊張、そして憂鬱といった、相反した色んな感情が入り混じって、平常心を乱すものであった。

例えば新年度のクラス替えでは、気心の知れた面々とは離れて新たな顔合わせとなり、余所余所しい雰囲気が漂う。イチからまた友人関係を構築しなければならないのか、と前途多難な気分になったものだ。
また、長い夏休みが明けた二学期の初日は、急に現実に引き戻されるような強烈なギャップを感じずにはいられなかった。久々に会うクラスメイトに対しても、妙な照れくささがあったりした。

こんな具合に、私にとってはあまり心地の良いものではなかった新学期だったが、苦手意識を持ち続けるのは建設的でない。子供心にも、この節目の意義を何とか見出そうとしていた。そこで先ず気付いたのは、憂鬱な気分でいるのは最初のほんの一週間程度だということだ。すぐに慣れてきて、何事もなかったかのように、いつもの日常に戻るのである。

ただしこれは、自動的にそうなるわけではなく、本人なりにある程度の工夫や努力をした結果でもある。この居心地の悪さを何とかしたい!という思いが、学校生活を平常に戻してくれるのだ。そしてこのような経験は、何かしらのメンタル面における能力を鍛えることに繋がるかも知れない、と考えるようになった。
今後の長い人生において、それこそ幾度もの大きな環境変化が訪れるだろう。だから今は、その都度上手く対処出来るようになるためのトレーニングをしているのだ、と。

もっと言えば、「学校」という場所そのものも、単に学力を磨くだけの場所ではなく、人生に於いてもっと大切な何かを身につける為の場所なのだ、とも思うようになった。今でもそれは変わらない。この時代、もはや授業や勉強は殊更学校に集まらなくとも可能になったが、それでも学校には重要な意味があり続けるだろう。

私はこのように、新学期から大切な気付きを得ることができた。 それは次のステップへの試練であり、気持ちの切り替えを体感する時でもあり、人生の中の大きなイベントだと捉えるようになったのだ。

これらを踏まえ、『新学期』というタイトルを持つ本歌曲のテーマは、「新陳代謝」とした。
細胞が古いものから新しいものに入れ替わるが如く、気持ちを入れ替える、心機一転について歌っている。長い休みが明けて、久々に登校した時の気持ちの変化や心理模様、それに伴う精神性の向上の様子を描いたのである。
では、このテーマをどのように音楽に反映させていったか。次回、具体的に語っていく。

(つづく)

次回更新予定日は 2021年1月29日(金)